現役医師であり統合医療の第一人者である崎谷医師が、うつ病の症状・原因・治療に悩む方に対して情報を発信しています。
うつ病の診断・検査
HAM-D構造化面接SIGH-D
SIGH-D日本語版作成の経緯
- HAM-Dについて
- ハミルトンうつ病評価尺度(Hamilton's Rating Scale for Depression;HAM-D)は、うつ病と診断された患者の重症度を測定する目的で1960年にMax Hamiltonによって開発されたものです。その有用性の高さから臨床研究および臨床実践の場で広く活用されている代表的なうつ病評価尺度ですが、問題点も多く指摘されています。
- 重症度評価について具体的指示が充分ではないことで、各医師の臨床的な直感に負うところが大きく客観性に欠け、HAM-Dのトータルスコアにおける信頼性に対する疑問が指摘されています。 (HAM-Dでは、各項目の重症度を0−2の3段階あるいは0−4の5段階で評価します。)
- これらの問題点を解消するために、Hamilton自身による見解に加え、評価法の解説テキストの出版や、アンカーポイントの設定、あるいは構造化面接が公表されています。
- SIGH-D日本語版について
- SIGH-D(Structured Interview Guide for the Hamilton Depression Rating Scale)は、主に米国でHAM-Dを原版として用いているEarly Clinical Drug Evaluation Unit(ECDEU)の構造化面接です。オリジナルの英語版SIGH-Dについては、評価者間の信頼性調査により使用に問題のないことが実証されているようです。
SIGH-D評価項目(21項目)
- 抑うつ気分:悲しみ、絶望的、ふがいなさ、無価値感(Depressed mood)
- 仕事と活動(Work and Activities)
- 生殖器症状:性欲の減退、月経障害など(Genital Symptoms)
- 身体症状、消化器系(Somatic Symptoms Gastrointestinal)
- 体重減少(Loss of weight)
- 入眠障害(Insomnia Early)
- 熟眠障害(Insomnia Middle)
- 早朝睡眠障害(Insomnia Late)
- 身体症状、一般的(Somatic Symptoms General)
- 罪業感(Feelings of Guilt)
- 自殺(Suicide)
- 精神的不安(Anxiety Psychic)
- 身体的不安:口渇、腹が張る、胃弱、動悸、頭痛、過呼吸、ため息など(Anxiety Somatic)
- 心気症(Hypochondriasis)
- 病識、洞察(Insight)
- 精神運動抑制:思考、会話の遅鈍、集中困難、運動機能の低下(Retardation)
- 精神運動興奮、激越(Agitation)
- 日内変動(Diurnal Variation)
- 現実感喪失・離人症:非現実感、虚無的な考え(Depersonalization and Derealization)
- 妄想症状(Paranoid Symptoms)
- 強迫症状(Obsessional and Compulsive Symptoms)
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