うつ病の治療・症状でお悩みの方へ

現役医師であり統合医療の第一人者である崎谷医師が、うつ病の症状・原因・治療に悩む方に対して情報を発信しています。

うつ病の医学ニュース(14)

中高年のうつ病は予後不良

うつ病は日常の機能や健康だけでなく、心血管障害や糖尿病などの慢性炎症疾患の発症に関与しています。これは、うつ病が慢性炎症疾患の部分症状であることと、HPA系の慢性炎症によって起こるからです。

自由大学医療センター(アムステルダム)のEls Licht-Strunk博士らは、オランダの開業医をなんらかの理由で受診し,大うつ病(MDD)の診断基準を満たした中高年患者を対象に縦断的コホー ト研究を行った結果、プライマリケアにおける中高年のうつ病は予後が不良であり、この患者群は適切な治療を受けていない可能性があると発表しました(BMJ(2009; 338: a3079))

(1)抗うつ薬による治療や、照会した精神科医による治療と回復までの期間との間に関連性は認められなかった。ただし、このような治療を受けている患者はベースライン時のうつ病の重症度が高かった

(2)認知機能については、うつ病が回復しなかった患者と回復した患者との間で差は見られなかった

(3)試験の対象患者全体で慢性疾患の有病率は時間とともに増加したが、回復した患者よりもうつ病患者でその有病率は高かった

なお、今回の研究では、対象となった大うつ病患者234例の大半(ベースライン時で患者の60%、追跡調査中は71〜77%)がうつ病治療を全く受けていなかったようです。

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→大うつ病エピソードが見られた期間(回復までの期間)の中央値は18.0か月〔95%信頼区間(CI)12.8〜23.1〕で、35%が1年以内に回復し、60%が2年以内、68%が3年以内に回復した。

最も適合した多変量モデルを用いた解析の結果、予後不良はベースライン時のうつ病の重症度と関連していた〔ハザード比 (HR)1.25,95%CI 1.08〜1.45〕。さらに予後不良はうつ病の家族歴(HR 1.45,95%CI 0.97〜2.17)と身体機能の悪化(HR 0.98,95%CI 0.97〜0.99)とも関連していた。

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