現役医師であり統合医療の第一人者である崎谷医師が、うつ病の症状・原因・治療に悩む方に対して情報を発信しています。
うつ病の医学ニュース(15)
うつ病や不安が肥満リスクに
うつ病や不安などの精神障害が肥満リスクの増加と関連しており、そのエピソードが慢性あるいは反復性の場合は特にリスクが高いとBMJ(2009; 339: b3765)に発表されました。
これは病める金融大国英国のデータですが、日本などの先進国にも当てはまる可能性はあります。過度の不安、ストレスは体が糖分を要求する方向に動くことはみなさまも経験ずみだと思います。
ただし、うつ病の場合は拒食タイプもありますので、肥満ばかりとはいえません。
論文の詳細はコチラ
→英国の公務員4,363例(35〜55歳)を対象に1985〜2004年の19年間に4回実施された医学的スクリーニングに基づいている。それぞれのスクリーニングには、精神障害の標準化評価(General Health Questionnaire)と身長・体重測定およびBMIが含まれている。
精神障害治療薬の服用などいくつかの因子を調整後、研究開始時点で精神障害の症状を有していた症例では、有していなかった症例よりも体重増加が多く見られた。
中間の3回のスクリーニングのいずれにおいても、精神障害を有していた症例では、有していなかった症例に比べ、最終スクリーニングでは肥満である率が2倍であった。
さらに、用量−反応関係の明瞭なエビデンスも示され、精神障害を経験した回数が多いほど、体重増加と肥満リスクも増加した。
精神障害の既往のない例で肥満が精神障害を引き起こすというエビデンスは得られなかった。
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