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現役医師であり統合医療の第一人者である崎谷医師が、うつ病の症状・原因・治療に悩む方に対して情報を発信しています。

うつ病の医学ニュース(24)

うつ病の薬物治療:副作用を見過ごす医師が多い

うつ病患者さんが経験するうつ病治療薬による副作用の数は、精神科医がカルテに記載する数の20倍に達することが報告されました(Journal of Clinical Psychiatry(2010; 71: 484-490)。

うつ病の薬物治療が中止される背景には、副作用が関係していることが多いです。

今回の研究では、うつ病治療中の患者300例がトロント副作用尺度を自己記入式にした質問票に回答しました。この質問票では31の副作用と苦痛の頻度が問われました。

そして、うつ病患者さんのカルテを調べ、精神科医が記録した副作用の情報を抽出しました。その結果、患者が報告した副作用の数(平均値)は、精神科医が記録した数の20倍でした。高頻度の副作用や苦痛が大きい副作用に限っても、2〜3倍の開きがありました。

今回の研究では、薬物治療の初期における投薬中止の原因として副作用が重要視されているにもかかわらず、臨床医がその情報を十分に引き出せていないことがわかったのです。また、うつ病患者さんが質問票で報告した副作用のほとんどが臨床医の記録にはなかったようです。

研究によっては、投薬による副作用の発現率が過小評価されている場合もあり、その結果、臨床医は患者に副作用について正確に伝えていない可能性があると指摘しています。

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