現役医師であり統合医療の第一人者である崎谷医師が、うつ病の症状・原因・治療に悩む方に対して情報を発信しています。
うつ病の医学ニュース(27)
青年期のうつ病治療でおよそ半数が再発
米国では10歳代では女性のおよそ5.9%、男性の4.6%が大うつ病に罹患している。うつ病で治療を受けた青少年のほとんどは回復するが、半数近くが再発し、女性の再発率はさらに高いとする研究結果がArchives of General Psychiatry(2010; オンライン版に発表されました。
Treatment for Adolescents with Depression Study(TADS)に参加した青少年196例(男性86例、女性110例)を、(1)fluoxetineによる薬物療法群(2)認知行動療法群 (3)2療法の併用群(4)プラセボ群—の4種の短期治療介入にランダムに割り付け、5年間追跡しました。
ほぼ全例(96.4%)がフォローアップ期間中に当初のうつ病エピソードから回復し、88.3%は2年以内に回復しまた。12週間の治療セッションが奏効 した者(短期奏効者)では、そうでない者と比べて2年以内に回復する確率が高い結果でした(96.2%対79.1%)。しかし、2年以内の回復と治療の種類の間に関連は見られませんでした。
うつ病から回復した189例のうち、88例(46.6%)が再発。短期治療が奏効しなかった者では、完全寛解や部分寛解に至った者より再発率が高く、再発率は、男性に比べて女性で有意に高い結果でした。
不安障害を併発していなかった者に比べて併発していた者では再発率が高かった(42.2%対61.9%)。さらに、うつ病が再発した者においては自殺念慮と自殺行動の尺度のスコアが高いという結果でした。
現在の抗うつ剤を中心とした治療では、無奏効あるいは部分寛解しか得られないと2年以内の回復の見込みが低いことが示されました。
ニュース(26)へ
>
うつ病の医学ニュース(27)