現役医師であり統合医療の第一人者である崎谷医師が、うつ病の症状・原因・治療に悩む方に対して情報を発信しています。
うつ病の医学ニュース(47)
抗うつ剤パロキセチン(パキシル)投与によるうつ病患者さんの自殺率(メタ研究)
21歳以下の児童〜思春期に抗うつ剤の代表的SSRIとよばれるパロキセチン(パキシル)を投与すると自殺率が高くなる、セロトニン症候群が起きやすいことがすでに報告されています(Psychopharmacol Bull. 2006;39(1):31-7、Am J Psychiatry 2007;164:1356-1363.)。
今回は、パロキセチン(パキシル)の製造販売特許を持つグラクソスミスクライン社が行った研究のデータから、うつ病患者さんのパロキセチン(パキシル)の服用による自殺の影響を調べた2011年の論文です(J Clin Psychiatry. 2011 Nov;72(11):1503-14. Epub 2011 Feb 22.)。
その結果、自殺率はプラセボ投与群と差がなかったものの、自殺企図の割合はパロキセチン(パキシル)投与群が高い結果でした。その理由として、児童〜思春期に対するパロキセチン(パキシル)投与による自殺企図の増加が影響しているというものです。
利益相反の製薬会社の研究でさえも、抗うつ剤の代表的SSRIであるパロキセチン(パキシル)の投与で児童〜思春期に対して自殺の割合が増えることは認めざるを得ない結果となっています。
ニュース(46)へうつ病の医学ニュース(47)