現役医師であり統合医療の第一人者である崎谷医師が、うつ病の症状・原因・治療に悩む方に対して情報を発信しています。
うつ病の症状P.3
次にICD-10(国際疾病分類第10改訂版)が定義するうつの症状を掲載します。ICD-10は、世界保健機構(WHO)が作成した診断基準です。ICDとDSMは互いに矛盾しないように連携しあっていますが、一般に、ICDはDSMの影響を強く受けています。
F32 うつ病エピソード(Depressive Episode)
- F32.0 軽症うつ病エピソード
- F32.1 中等症うつ病エピソード
- F32.2 精神病症状を伴わない重症うつ病エピソード
- F32.3 精神病症状を伴う重症うつ病エピソード
- F32.8 他のうつ病エピソード
- F32.9 うつ病エピソード、特定不能のもの
G1. うつ病エピソードは、少なくとも2週間続くこと。
G2. 対象者の人生のいかなる時点においても、軽躁病や躁病エピソードの診断基準を満たすほどに十分な躁病性症状がないこと。
G3. 主要な除外基準:このエピソードは、精神作用物質の使用、あるいは器質性精神障害によるものでないこと。
F32.0 軽症うつ病エピソード Mild depressive episode
- A:うつ病エピソード(F32)の全般基準を満たすこと。
- B:次の3項の症状のうち少なくとも2項があること。
- 1.対象者にとって明らかに異常で、著明な抑うつ気分が、周囲の状況にほとんど影響されることなく、少なくとも2週間のほとんど毎日かつ1日の大部分続く。
- 2.通常なら楽しいはずの活動における興味や喜びの喪失
- 3.活力の減退または疲労感の増加
- C:次に示す付加的な症状を併せて、B項との合計が少なくとも4項あること。
- 1.自信喪失、自尊心の喪失
- 2.自責感や、過信で不適切な罪悪感といった不合理な感情
- 3.死や自殺についての繰り返し起こる考え、あるいは他の自殺的な行為
- 4.思考力や集中力の低下の訴え、あるいはその証拠。例;優柔不断や動揺性の思考
- 5.焦燥あるいは遅滞をともなう精神運動性の変化(主観的なものであれ客観的なものであれ、いずれでもよい)
- 6.いろいろなタイプの睡眠障害
- 7.相応の体重変化をともなう食欲の変化(減退または増進)
- 第5桁の数字は、「身体症候群」の有無を特定するために使われる。
- F32.00 身体症候群をともなわないもの
- F32.01 身体症候群をともなうもの
うつ病の症状P.3