うつ病の治療・症状でお悩みの方へ

現役医師であり統合医療の第一人者である崎谷医師が、うつ病の症状・原因・治療に悩む方に対して情報を発信しています。

うつ病の治療P.13

生活習慣改善でうつ病は治癒する

今までの近代医学は、「原因→結果」の線形的な因果関係を想定し、その原因あるいは症状に集約した治療を行うという「線形」アプローチでした。それと対比して、うつ病のような慢性病の治療は、「多因子⇔結果」という多くの因子の相互作用を念頭に置いた「非線形」アプローチが適しています。非線形病の慢性病に対する治療は、おのずと「非線形」アプローチになるはずなのです。

具体的には、うつ病を引き起こす原因となる慢性炎症の要因を個別に考えていくことと同時に慢性炎症を総体として捉えることが大切です。つまり、その人が慢性炎症を起こす要因をつぶしていき、かつ慢性炎症そのものを抑えるアプローチが有効になるということです。

近年、ミトコンドリアのフリーラジカルによって遺伝子のスイッチがオン/オフするような遺伝子外(遺伝子配列そのものは変化しない)の変化に見られる「エピジェネティックス」という現象が、注目されるようになりました。これはストレスや食事などを含めたライフスタイルによって、遺伝子の発現が変化するという新しい知見です。

一卵性双生児はまったく同じ遺伝子を持っています。幼い間は、容姿や行動がそっくりです。しかし、年齢を重ねるにつれて、身長、性格、病気の罹りやすさなどに違いが出てきます。これは一卵性双生児が成長するに従って、違う環境に暴露されることで遺伝子の働きが変わるからです。遺伝子の働きを変える分子機構として代表的なものが「メチレーション」(メチル化)と呼ばれるものです。一卵性双生児では、この「メチレーション」の起こる量やパターンが成長に従って両者で変わってきます(19)。

うつ病のような気分障害にミトコンドリアの機能異常や慢性炎症が共通機構として関っていることがようやく報告されるようになりました(20)。最終的にうつ病を引き起こす慢性炎症も「エピジェネティックス」に変化を与えることで改善・治癒は可能なのです。「エピジェネティックス」変化を起こすためには、環境を含めたライフスタイルを変えていかなければなりません。

うつ病のベースにある慢性炎症もライフスタイルを改善することでコントロールすることができます。たとえば、適度な有酸素運動は健全なミトコンドリアが増える効果があることが分かっています(21)。健全なミトコンドリアが増加すれば、フリーラジカルの漏れが少なくなり、慢性炎症が沈下していきます。

嫌悪感、不安感、警戒心、心理的ストレスなどの負の情動は、大脳辺縁系から視床下部─下垂体─副腎系に働き、ホルモン、神経ペプチドを通してリンパ球に影響を与えます。精神─神経─免疫系の密接なつながりからは、精神的ストレスによって免疫系が影響を受けることで慢性炎症を引き起こす可能性もあるのです。これがリラクゼーションや瞑想が精神─神経─免疫系のすべてに良い影響を与える根拠となっています。

また免疫細胞の60 〜70%は、全身免疫をつかさどっているリンパ節や脾臓ではなく、腸に存在しています。そして、うつ病で問題にされるセロトニンという神経伝達物質は、脳よりも腸の神経細胞から分泌される量が多いのです。セロトニンの95%は腸の神経細胞由来です。その他、脳と同じように腸の神経細胞は30種類以上の神経伝達物質を分泌します。脳と腸をつなぐ迷走神経も、90%以上は腸からの情報を脳に運ぶ役割であり、その反対ではありません。つまり、脳から腸に情報が伝えられるより、腸から脳に情報が伝えられることが圧倒的なのです。このことから腸内環境の変化が脳に及ぼす影響が甚大であることが分かります。特に腸内の免疫系で重要な役割を果たしているのが、共生微生物です。共生微生物によって、腸の粘膜細胞の成長や免疫系の発達が促されます(22)。このような知見からは腸内共生微生物に影響を与えるような抗生剤、毒性物質を摂取しないことが精神?免疫にとって重要であることが分かります。

このような慢性炎症を低下させる生活習慣改善に多面的に取り組む「非線形アプローチ」によって、うつ病の根を取り除くことが科学的にも理にかなっているのです。

参考文献

  • American Psychiatric Association, Diagnostic and statistical manual of mental disorders 4th edition, Text Revision, (2000)
  • Psychoneuroimmnology fourth edtion
  • (19)Proc. Nat. Acad. Sci., 102(2005), 10604-10609
  • (20)Progress in Neuro-Psychopharmacology and Biological Psychiatry, 35(3)(2011), 730-743
  • (21)Quarterly Journal of Medicine, 89(1996), 251-258
  • (22)Trends Immunol., 26(2005), 419-424
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